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近視抑制治療(低濃度アトロピン点眼)

近視の見え方と症状

大人も子どもも、物を見る時には毛様体筋が水晶体の厚みを変化させることで、網膜上に正しく像が結ばれます。遠くを見る時には水晶体が薄くなり、近くを見る時には水晶体が厚くなるのです。近くばかりを見ていると、毛様体筋の緊張が高まり、遠くに視線を映した時にピントが合うまでに時間がかかります。これを仮性近視と言います。
近視は、主にこの仮性近視を繰り返すことで起こる屈折異常です。近年は、スマホ・タブレットの普及、外遊びの減少などによって、子どもの近視が増えています。
またその他、遺伝的要因も近視の発症に影響しています。

近視はどのように見える?

近視になっても、近くはよく見えます。一方で、遠くがぼんやりとし、見えにくくなります。
近視とは、常に近い距離にピントが合っている状態なのです。

近視抑制の4つの治療方法

近視の治療には、主に以下のようなものがあります。

低濃度アトロピン治療

毎晩、就寝前に低濃度アトロピンを点眼するという治療です。近視の進行を抑制する効果が期待できます。
対象となるのは、軽度~中等度の近視の、6~12歳の子どもです。
副作用がほとんどない、安全性の高い治療です。

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オルソケラトロジー治療

特殊な形状をした専用レンズを、毎晩、就寝時に装用します。角膜の形状を一時的に矯正することで、起床後はレンズを外して1日の長い時間を裸眼で過ごすことができます。
子どもの場合には、眼軸長の伸長が抑制されることから、近視の進行抑制効果が期待できます。専用レンズは、一般のハードコンタクトレンズと同じように管理・装用します。

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レッドライト療法

3~16歳のお子さんに対する、近視の進行抑制治療です。アイライジングというデバイスを使用し、週5日、1日2回、1回あたり3分間、目に低出力赤色光を照射します。デバイスは貸与の上、ご自宅でご使用いただけます。継続的なレッドライト療法により、近視の進行が87.7%抑えられる効果が確認されています。

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多焦点ソフトコンタクトレンズ

一般には、老眼矯正のための遠近両用コンタクトレンズとして知られる多焦点コンタクトレンズですが、子どもの近視の進行抑制にも効果が期待できます。オルソケラトロジーと同等の有効性が示されており、海外では普及が進んでいます。
管理が比較的容易であることも大きなメリットですが、オルソケラトロジーとは異なり日中に装用するものであるため、ゴミが入った時などに自分で着脱できる・洗える子どもが対象となります。

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眼鏡

海外では、特殊な眼鏡の装用による、子どもの近視の進行抑制治療が行われています。眼軸の伸長を抑えることで、近視の進行抑制を図ります。副作用がまったくと言っていいほどありません。ただ、国内での治験がまだ行われていないため、現時点では使用できません。
一方で、近くを見る時の調節力を和らげ、網膜中心部の焦点のずれを防ぐことで眼軸の伸長を抑える「累進屈折力レンズ眼鏡」については、国内でのしようが可能です。一般的な眼鏡、コンタクトレンズを装用した場合と比べて、10~20%、近視の進行を抑制します。

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子供の近視抑制治療法「低濃度アトロピン治療」とは

当院の近視抑制治療の特徴当院では、お子さんの近視抑制治療として、低濃度アトロピン治療を行っております。
近視の原因である、眼軸の進展を抑制する作用を持つ「アトロピン点眼薬(0.01%)」を毎晩、就寝前に1回点眼するという治療です。継続的に点眼を行うことで、約60%の近視抑制効果があると言われています。
対象となるのは、中等度(-6.0D)以下の近視の、12歳以下のお子さんです。また、3ヶ月ごとの定期的な通院も必須です。

治療を受けるための検査

  • 屈折検査
  • 角膜曲率半径検査
  • 視力検査(裸眼・矯正)
  • 角膜形状解析
  • 前眼部OCT検査
  • 眼軸長検査
  • 角膜内皮細胞検査
  • 眼底検査
  • 黄斑部OCT検査
  • 視神経乳頭OCT検査
  • 超広角走査型レーザー検眼鏡

当院の近視抑制治療の特徴

当院では、お子さんの近視抑制治療として、低濃度アトロピン0.01%または0.025%点眼薬を使った治療を行っています。
低濃度アトロピン0.01%点眼薬は、子どもの近視の進行を軽減させることを目的として、シンガポール国立眼科センターの研究に基づいて開発・製造される点眼薬です。
近視の主な原因は、眼軸長の伸長です。そして一度伸びてしまった眼軸は、二度と元には戻りません。低濃度アトロピン治療では、この眼軸長が伸びないようにすることで、近視の進行を抑制します。

低濃度アトロピン点眼薬について

  • 継続的に使用することで、約60%の近視抑制効果があると言われています。
  • 毎晩、就寝前に一滴を点眼するだけの、ご負担の少ない治療です。
  • 日中の光の眩しさには、影響を与えないと言われています。サングラスもほぼ不要です。
  • 目の遠近調節機能に、ほとんど影響を与えません。
  • 各容器は1ヶ月の使い切りとなっています。余った分は破棄してください。
  • 点眼薬は、GMP(医薬品製造管理および品質管理基準)に準拠した工場で製造されています。
  • 近視の進行が完全に止まるわけではありません。
  • 少なくとも、2年以上の継続が推奨されています。これは、2年間の継続使用により、近視の進行を軽減できたという報告に基づきます。

低濃度アトロピン治療の対象は何歳まで?

低濃度アトロピン治療の対象となるのは、以下に該当する、「近視が進みそうな子ども」です。近年は、スマホ・タブレットの普及によって、子どもの近視が増えています。以前と比べて近視が進むリスクも高くなっているため、近視およびその進行により注意しなければなりません。

低濃度アトロピン治療の対象は何歳まで?
  • 12歳以下
  • 中等度(-6.0D)以下の近視である
  • 3ヶ月ごとの定期通院が可能である

なお、治療の期間ですが、少なくとも2年以上、17~18歳くらいまでの継続が推奨されています。

低濃度アトロピン点眼薬の効果と副作用

低濃度アトロピン(0.01%)点眼薬は、眼軸長の伸長および近視の進行を抑制する治療として、統計的・臨床的な効果が確認されています。
近視の進行を、約60%軽減させるとの報告があります。

低濃度アトロピン治療の安全性

シンガポール国立眼科センターの研究では、低濃度アトロピン(0.01%)点眼薬を2年間使用した後に、以下のような報告がなされています。

  • アレルギー性結膜炎、皮膚炎ありませんでした。
  • 眼圧に影響を与えませんでした。
  • 白内障をきたすことがありませんでした。
  • 点眼治療を終えてからも、遠近調節機能が低下する、瞳孔が開き続けてしまうことはありませんでした。
  • 電気生理学上、網膜機能に影響を与えませんでした。

低濃度アトロピン治療の副作用

低濃度アトロピン治療は、副作用の少ない治療です。
もっともよく見られる副作用として、「まぶしさ」がありますが、就寝前に点眼するものですから、起床後への影響はほとんどありません。起床後もまぶしさが残るという場合には、医師にご相談ください。点眼のタイミングを前倒しにする等の対応をいたします。

  • まぶしさ
  • 薬剤アレルギー(目のかゆみ・充血・皮膚炎・動悸)

近視抑制治療(低濃度アトロピン治療)の流れ

1適応検査(要予約)

適応検査(要予約)各種検査、診察を行います。
適応となり、治療計画にご同意いただけましたら、点眼薬を発注します。

2治療開始(要予約)

治療開始(要予約)改めて治療の内容、注意点などをお伝えした上で、治療を開始します。
治療開始後、気になる症状などございましたら、すぐにご連絡ください。

3治療開始から1週間後・1カ月後の定期検査(要予約)

再度検査・診察を行い、問題なければ追加の点眼薬を処方します。

43ヶ月ごとの定期検査(要予約)

3ヶ月ごとの定期検査(要予約)以降、3ヶ月ごとに定期検査にお越しいただきます。
治療は、最低2年、継続されることをおすすめします。

低濃度アトロピン治療の費用

治療内容 費用(税込)
適応検査 3,300円
1週検査 550円
定期検査(3か月毎) 550円
点眼薬(1本) 0.01% 3,970円
0.025% 4,350円

※2024年6月1日より、納入価格高騰のため上記価格へ変更となりました。何卒ご了承お願い申し上げます。
※この治療は自由診療です。(保険診療や子ども医療費助成制度は適応されません。)
※オルソケラトロジー治療と低濃度アトロピン治療併用も可能です。
※予約制です。