- 手術をしない視力矯正法「オルソケラトロジー」とは
- オルソケラトロジーの安全性
- 何歳から使用できる?オルソラケラトロジーの適応年齢
- オルソケラトロジーはこのような方におすすめです
- オルソケラトロジーのメリット・デメリット
- オルソケラトロジー治療は何年続ける?
- オルソケラトロジーの流れ
- オルソケラトロジーの費用
- オルソケラトロジーのよくある質問
手術をしない視力矯正法「オルソケラトロジー」とは
オルソケラトロジーとは、就寝時に特殊な形状をした専用レンズを装用することで、角膜の形状および近視を一定時間矯正するという治療です。起床後は、レンズを外しても角膜の形状が維持され、日中の長い時間を裸眼で過ごすことが可能です。オルソケラトロジーの最大の特徴は、レーシックのような手術が不要である点です。レンズの装用を中止することで、角膜が元の状態に戻る可逆性のある治療です。
なおレンズは、一般的なハードコンタクトレンズと同じ取り扱い方で問題なく、患者さんのお手間も少ない治療となっています。
オルソケラトロジーの仕組み
専用レンズの装用により、角膜の形状を平坦近くに矯正します。そしてその形状が、起床後にレンズを外してからも一定時間、保たれます。
使い始めは、夕方頃に角膜の形状が元に戻り、視力が低下するため、眼鏡・コンタクトレンズとの併用が必要になりますが、継続することで次第に視力が維持できる時間が長くなります。多くの方が、日中を完全な裸眼で過ごせるようになります。
オルソケラトロジーの安全性
オルソケラトロジーでは、専用のレンズを使用します。そしてこのレンズを使用するリスクは、一般のコンタクトレンズと同等、またはそれ以下と言われています。
一般のコンタクトレンズがそうであるように、正しく管理・装用しなければトラブルを引き起こすことがありますが、(コンタクトレンズを使っている人はご存じでしょうが)それほど難しいものではありません。正しい管理・装用方法は丁寧にお伝えしますので、一般のコンタクトレンズを使ったことがない人を含め、過度に心配する必要はありません。 オルソケラトロジーは、30年以上前からアメリカで研究・使用され、現在はアメリカ・ヨーロッパ・アジアを中心に広く普及し、その安全性が認められています。
またレーシックのような角膜を削る治療ではなく、何らかのご理由(眼科疾患・効果を実感できない等)で角膜を元の状態に戻したい場合も、オルソケラトロジーを中止するだけで構いません。
何かご不安なこと、心配なことがあれば、ご遠慮なく医師にご相談ください。
当院では、下記の製品を取り扱っております。
何歳から使用できる?オルソラケラトロジーの適応年齢
日本のオルソケラトロジーガイドラインでは、以前はあった年齢の制限が撤廃されています。
そのため、何歳であっても治療を受けられます。ただし、専用のレンズを正しく使用できる必要があるため、小学生以上の方が目安となります。またお子さんの場合は、親御さんの管理・サポートも必要です。
子供におすすめの視力矯正「オルソケラトロジー」
オルソケラトロジーはまた、子どもの近視抑制知療法としても注目されています。子どもは大人と比べて角膜がやわらかいため、オルソケラトロジーによる眼軸の伸長を抑えやすく、近視の進行を抑制する効果が期待できます。
当院ではその他、子どもの近視進行抑制治療として、低濃度アトロピン治療、レッドライト療法にも対応しております。低濃度アトロピン治療については、オルソケラトロジーとの併用が可能です。
オルソケラトロジーはこのような方におすすめです
最終的な適応は検査・診察の上で判断しますが、一般的に「オルソケラトロジーが向いている方」、またその反対の「オルソケラトロジーが向いていない方」は、以下のようになります。
オルソケラトロジーが向いている方
- 軽度~中等度の近視の方
- 眼鏡、コンタクトレンズを使用せず日中を過ごしたい方
- スポーツをする方
- 角膜を削るレーシックには抵抗がある方
- 日中、点眼薬を使用できる方
- 小学生以上の方
オルソケラトロジーが向いていない方
- 妊娠中の方、授乳中の方
- 近々、妊娠のご予定がある方
- レーシックなどの屈折矯正手術を受けた方
- 重度のドライアイの方
- 角膜や結膜の疾患がある方
- 角膜のカーブが強すぎる/弱すぎる方
- 円錐角膜の方
- レンズの管理、装用を正しくできる自信のない方
- 定期的な検査に通えない方
- 常に適正な視力が求められ、効果が途切れ視力低下した時に、業務が中止できない仕事に就いている方
オルソケラトロジーのメリット・デメリット
メリット
日中を裸眼で過ごせるようになる
就寝中の専用レンズの装用によって、日中を裸眼で過ごせるようになります。スポーツをする時に眼鏡が邪魔になる、通常のコンタクトレンズの装用で日中に目の乾きを感じるといった方に、特におすすめです。
手術が不要で安全性が高い
レーシックのような手術は不要です。また、専用レンズを装用するリスクは通常のコンタクトレンズと同等かそれ以下と言われる、安全性の高い治療です。
レンズの装用をやめることで角膜が元の状態に戻る
眼鏡・コンタクトレンズの方が合っていた、眼疾患になったといった場合も、専用レンズの装用を中止することで、角膜は元の状態に戻ります。
子どもの近視進行抑制効果がある
オルソケラトロジーの継続的な使用により、子どもの近視進行抑制効果が期待できます。また、低濃度アトロピン治療との併用も可能です。
取り扱いが簡単である
専用レンズは、一般のハードコンタクトレンズと同じ取り扱いが可能であり、患者さんのご負担が抑えられます。もちろん、ハードコンタクトレンズを使ったことがないという方でも治療を受けられます。
デメリット
レンズをケアする手間がある
レンズを正しく管理・装用できない方には、オルソケラトロジーをおすすめしません。レンズのケアを怠ると、角膜炎、角膜上皮障害、角膜内皮障害、角膜感染症、巨大乳頭結膜炎などのリスクが高まります。
定期検査欠かせない
適切に治療を継続していくためには、定期的にご来院の上、検査を受けていただく必要があります。
使い始めはハローグレアが起こりやすい
治療開始直後は、夜間や暗所で光が滲む、光のまわりに輪が見える等の副作用(ハローグレア)が起こりやすくなります。多くは治療を継続することで気にならなくなりますが、夜間に車を運転する方の場合には、慎重に判断します。
オルソケラトロジー治療は何年続ける?
オルソケラトロジーをいつまで続けるかは、成人と子ども、およびその目的によって異なります。
成人の場合(短期的な近視の矯正を目的とする場合)
成人の場合、オルソケラトロジーに近視の進行抑制効果は期待できず、目的はあくまで近視を矯正し、日中を裸眼で過ごすことにあります。
そのため、特に治療期間の定めはありません。ただし、効果の持続期間は徐々に長くなっていきますので、あまりに短期間で治療をやめてしまうと、オルソケラトロジーの良さをご実感いただけません。
子どもの場合(長期的な近視の進行抑制を目的とする場合)
近視の進行抑制を目的として子どもが治療を受ける場合は、近視の進行が緩やかになる17~18歳くらいまで継続されることをおすすめします。
もちろん、それ以降もオルソケラトロジー治療を継続し、日中の裸眼での視力を維持する方も多くいらっしゃいます。
オルソケラトロジーの流れ
1適応検査・診察
オルソケラトロジーの適応となるかどうかの検査、医師による診察を行います。
オルソケラトロジーの適応となり、医師の説明を受けた上で治療をご希望になる場合には、次のステップへと進みます。
※ハードコンタクトレンズを使用されている方は、適応検査の1週間前から、ハードコンタクトレンズの装用を中止していただく必要があります。
2テスト装用
院内で、30分~1時間前後、トライアルレンズを装用していただきます。
着け心地、睡眠への影響などをご確認ください。
3治療開始
テスト装用を経て、問題なく使用できそうであれば、治療を開始します。
毎晩、専用のレンズを就寝時に装用し、翌朝に外してください。
4定期検査
翌日、1週間後、2週間後、1カ月後、3カ月後にご来院いただき、検査を行います。その後も、3ヶ月ごとに定期検査が必要です。
異常を感じた時、何か気になることがある時には、それ以外のタイミングでもご相談ください。
オルソケラトロジーの費用
費用(税込み) | |
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片眼 | 71,500円(税込) |
両眼 | 143,000円(税込) |
※オルソケラトロジーは自由診療であり、保険は適用されません。
※オルソケラトロジーは、低濃度アトロピン治療との併用が可能です。
※上記費用には、オルソケラトロジーレンズ代金、1ヶ月分の洗浄液やレンズケースなどのケア用品の代金、1ヶ月までの定期検査費用が含まれています。
※1ヶ月以降のケア用品代金は、別途必要になります。また1ヶ月以降の定期検診の費用も同様です。定期検診の費用は、1回あたり税込550円となります(投薬がない場合)。投薬を行う場合、その費用は実費となります。
※1週間トライアルをご希望の場合、レンズの保証金として55,000円をお預かりします。その後、オルソケラトロジー治療に移る場合には、上記金額の差額分をお支払いいただきます。トライアル後、オルソケラトロジー治療をご希望でない場合には、レンズ返却確認後 33,000円をお返しします。トライラル期間中の破損・紛失時は別途費用がかかります。
※レンズの紛失時・破損時には、新しいレンズをご用意いたします。代金は1枚あたり、税込33,000円となります。
オルソケラトロジーのよくある質問
視力は、すぐに回復するのでしょうか?
若い方で、軽度の近視であれば、約1時間の装用で1.0以上に矯正することが可能です。またそれ以外の方であっても、ほとんどの場合は1週間ほどで十分な視力回復が期待できます。
レンズの取り扱いは、難しくありませんか?
基本的に、一般のハードコンタクトレンズと同じ取り扱い方法で問題ありません。お子さんの場合、慣れるまでは親御さんのサポートが必要です。一般のコンタクトレンズを使用したことがない方も、丁寧に指導いたしますのでご安心ください。
レンズの装用時、痛みはありませんか?
一般のコンタクトレンズと同様、痛みはありませんが、慣れるまで多少の違和感があります。痛みがある場合、違和感が続く場合には、使用を中止し当院にご相談ください。
オルソケラトロジーが向いているのは、どんな人ですか?
まず適応条件として、「6歳以上であり、中等度(-4D程度)までの近視、軽度の乱視」「角膜のカーブの異常、円錐角膜、重度のドライアイ、角膜・結膜疾患がない」というものがあります。この条件を満たした上で、スポーツや仕事などで眼鏡・コンタクトレンズが邪魔になっている方、近視の進行を抑制したいお子さんに特におすすめします。
では反対に、オルソケラトロジーが向かないのは、どんな人でしょうか?
まず妊娠中・授乳中の方、円錐角膜・重度のドライアイ・角膜や結膜の疾患のある方は、適応外となります。その他、レンズの管理や装用が正しくできない方、定期的な受診ができない方にも、オルソケラトロジーはおすすめできません。
オルソケラトロジーの適応になるかどうか、自分で判断することはできますか?
最終的な判断は適応検査・診察の上で行います。ご自身で「向いていないかもしれない」と感じられる方も、ご興味がございましたら、一度当院までお気軽にご相談ください。
オルソケラトロジーは乱視にも効果がありますか?
オルソケラトロジーでは、比較的軽度の乱視であれば、良好な視力を出すことは可能だと考えられますが、乱視度数が‐1.50D以上の適応を外れる乱視に関しては、充分な効果が得られない可能性がございます。
適応検査で判断いたしますので、まずはご相談ください。